
「すり抜けはバイクの特権って言うけど本当!?」
「走行中の車の間をすり抜けるのは危ないけど良いの?」
「信号待ちや渋滞中の停車中の車の脇をすり抜けるのはOK?」
混雑している道路の端をスーっと走り抜けていくバイク。時にはギリギリの隙間を通過したり、左右に車線間を縫うように走ったり・・・
車のドライバーからすると「危ない!」「非常識!」と感じますよね。
・バイク乗りが知っておくべき現実とリスク
気になる項目を掘り下げました。車とバイクがお互いに気持ち良く走行するためにお役立て頂ければ幸いです。
バイクの すり抜け は法律的にどうなのか
道路交通法には、すり抜けそのものを禁止する条文はありません。
ただ、その行為に際しての行動で道交法の以下項目に違反に該当する可能性があります。
- 追い越し
- 進路の変更の禁止
- 割り込みの禁止
- 走行帯違反
調べていくとこれらの法規が複雑に関連している事、また解釈にバラツキがある事が分かりました。なので、この記事では一つ一つの法規の内容を純粋に紹介していきます。以降の引用部分は全て道路交通法からのものになります。
追い越し
まずは定義の確認から

「走行中の車を抜いた場合で、停車中は対象外。だから渋滞等で停止している車両のすり抜けは対象外」という意見を聞きますが、定義には明記されていません。明記されていない以上、車の脇をすり抜けて前に行く事は「追い越し」とみなされる可能性があります。
定義を確認したら、次はこちら

第二十五条第二項又は第三十四条第二項若しくは第四項の規定は、交差点での右左折を規定しています。簡単にまとめると以下になります。
- 追い越しは原則的に右側から
- ただし、交差点で他の車両が右左折するため道路中央か右端にいる際は左側から
- 追い越しは、周囲の状況を十分に確認し、できる限り安全な速度と方法で
片側2車線以上の道路で車線間を左右にすり抜けていく行為は、「右側からの追い越し」「できる限り安全な速度と方法で」の項目に違反となります。
少し考えてみればすぐ分かりますが、ちょっとしたミスと車の想定外の動きで即大事故になる可能性が有る危険な走り方です。ライダーの方は決してやらないようにしましょう。
追い越しには場所の決まりもあります。
三項からすると、交差点の信号待ちでのすり抜けは事実上出来ない事になります。
進路の変更の禁止
先ほどの片側2車線以上の道路で車線間を左右にすり抜けていく行為はこちらにも該当。
自分本位ではなく、まわりの車両に迷惑のかからない走り方を心掛けましょう
割り込みの禁止
まだまだ続きます。

こちらも正直に受け止めると、すり抜け出来ません。
「前方じゃなくて横に並んでるからOK」は屁理屈です(^ ^;)
通行区分
まだあります。
歩道/車道/路側帯の定義は以下です。
簡単にまとめると以下になります。
- 歩道の走行はNG
- 歩道が別にある道路の路肩はOK
- 歩道が無い路肩の走行はNG
2番目はOKとは言うものの、今までの追い越しや割り込みなどの項目に該当する可能性があります。
高速道路の路肩は?
高速道路の渋滞中にバイクが左端の路肩を走る行為。時々目にしますね。これは上記まとめの「3.歩道が無い路肩の走行」に該当し違反となります。ここは故障車両が一時停止したり、非常時に緊急車両が走行したりするために使用されますので一般車両は走行できません。
管理人のまわりにも実際に渋滞時にバイクで路肩を走行して捕まった人がいます^ ^;
以上のように、すり抜けそのものを明確に規定している法規はありませんが、現実的には何かしらの違反を犯してしまう可能性の高い行為と言えそうですね。とは言え、実際の解釈は警察官の個々の判断によるところが大きいのかもしれません。
そうでなければバイクは至る所で大量に捕まっているハズ・・・
だからと言って我が物顔でバイクがすり抜けていくのは大きな間違いですね。道路はみんなの物です。実際車のドライバーは「すり抜け」に対しどんな印象を持っているのか調べてみました。
バイク 乗りが知っておくべき現実とリスク
車のドライバーの意見を知る
Yahoo知恵袋や管理人の周辺ドライバーからの意見をまとめてみました。
- 信号待ちで左側にスペースがあればすり抜けは特に何も思わない
- 原付は前に出ないで欲しい。遅いのでまた抜き返すので危ない
- 信号待ちで白線よりも前に出てくるのはおかしい
- 通れるか通れないかのギリギリの隙間に無理やり突っ込んでくるのは不愉快
- 動いている車の脇をギリギリですり抜けて驚いた。危ない
- 道路の真ん中を左右に車線変更を繰り返して走っていくのは危ない
- 車のミラーに当たって何事もなかったかのように走り去っていった
- 左折しようとウインカーを出してもバイクが減速もせず車の動きを察知しない
管理人の周囲の人も含め、「車が完全に止まっていて、左側に十分なスペースがある場合にゆっくりすり抜け」は意外と許容範囲と考えているドライバーがいました。
逆に、「ズル抜かしだ」「うざい」「オレは渋滞にハマってんのに何でお前だけ」とイライラする人がいるのも事実。実際に左側に車を寄せてくるケースもあります。その他の意見も道交法に違反するような行為に対しては不満や危険を感じていますね。
すり抜け のリスク
法律的に違反となり減点&罰金となることはもちろんですが、何より危険なすり抜けは事故の危険性が高いです。
- 走行中の車両の脇をすり抜け
→道路に落下物があって車が避けようとして事故
→車がウィンカーを出さず急に車線変更し接触 - 停止中の車両の脇をすり抜け
→車のドアが急に開いた。歩行者が飛び出してきた
十分に考えられることですね。バイクは機動性に富む反面、ライダーは転倒時のダメージをダイレクトに受けます。
「もしかしたら〜かもしれない」
自分のため&相手のためにも、自動車のドライバー以上にライダーは危険を予知予測して予防運転に努める必要が有りますね。法規的にどうかはもちろん、「なんとなく危ない気がする」そんな時は自分の直感を信じて大人しく何もしないのが正解です。
まとめ
・ただ、すり抜け時の行動が他の道交法違反に該当する可能性がある
・該当法規は複数あり、それぞれが複雑に関連し、解釈にバラツキがありえる
・現実的には何かしらの違反を犯してしまう可能性の高い行為
・実際の解釈は警察官の個々の判断によるところが大きそう
・ドライバーによりすり抜けに対する印象は変わる
・すり抜けは「もしも」を含め事故の危険性が高い行為という自覚が必要
・大切なのは車とバイクがお互いに気持ちよく道路を走れること
最後になりますが、そもそもの道路交通法の目的を見てみると
(目的)
第一条 この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。
とあります。バイクの機動性は車に対して大きなメリットであることは事実です。だからこそ、自分の運転が周囲にどんな影響を与えているのかを自覚しつつ、地球にも車にも結果的に自分にも優しい運転を心掛けていきましょう。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。